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Ray

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はじめに

はじめまして。
このたびは、当ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
こちらはBL作家みかみ黎のブログです。
おもに男性同士の恋愛をテーマにした小説(ボーイズラブ小説・BL小説)を書いています。
恐れ入りますが、18歳未満の方、またはボーイズラブ・BL・やおいといったものが苦手な方、これらのワードに興味がない方は閲覧なさらないようお願いいたします。

なお当ブログ内のすべての文章は無断転載、無断使用を固くお断りいたします。
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『おねがい!Nineteen』Kindleにて配信開始しました。

お願い

『おねがい!Nineteen』

大学から帰宅すると、間を置かずチャイムが鳴った。

「はい」
 玄関ドアを開けると橙色の空を背景に、さっきまで一緒だった律が立っていた。どうも今日は様子がおかしいと思ったら案の定だ。

「ね、アユちゃん。一生のお願いだからっ」

 こんなふうに真剣な顔で両手を合わせて拝むときは、ろくでもないと長年の経験で知っている。
 しかもその手に女物らしきピンクのニットが握られている。
 もうね、悪い予感しかしない。

「アユちゃんって呼ぶのやめろって何度も言ってるだろ。つか、ヤだよ。どうせその服、着ろとか言うんだろ」
「え? どうしてわかったの?」

 律はきょとんとした顔をするけど、幼稚園年少から大学一年の今日まで、長いつきあいなんだ。
 わからないほうがどうかしてる。

 律に関して、はずれたことのない予感的中に盛大にため息をつく。

「そんな顔しないで。僕、本当に困ってるんだ。こんなこと頼めるのは、アユちゃんしかいないんだから」
 何度抗議しても、こいつはスルーして『アユちゃん』呼びをやめないことにも脱力する。

「だから、なんで俺が女物の服なんて着なきゃいけないんだよ」
 きっぱりと断ってやった、つもりだったのに、

「どうしてって、アユちゃんかわいい顔してるし小柄だし華奢だし、女の子の格好しても、きっとちゃんと女の子に見えると思うんだ」
 にこにこと動じない律に頭を抱える。

「だあからっ。どうして俺が女の子の格好をしないといけないんだよっ。それに小柄ってなんだよ、一七〇あんだよ、フツーだろ、おまえがデカ過ぎるだけだっ」

 女顔でチビなのはコンプレックスだ。
 それをきりっとした男らしい顔と体格、身長も一八〇ある律から、むしろ美点みたく嬉しそうに言われるとムカついて、つい声を荒げた。

「えー、ウソ。166じゃなかったっけ? また最近伸びた? って、変わってないよね。ほら、前と一緒。このへんだから」
 律はわざわざすり寄ってきて、自分の身体で俺の身長を測ろうとする。

「うるさい、四捨五入すれば170だっ」
 もういちいち、こいつは。

 中学一年までは俺のほうが余裕で高かったのに、いつの間にか追いつかれ、今は見おろされている。
 マジ、癪に触る。

「そんな怒んないで聞いてよ。あのね、紗理奈さんが他の人と結婚するから、僕とは別れるって言うんだ」
「紗理奈さんって、おまえの彼女だろ? なんだよ、他の人と結婚するって?」

 俺は眉を顰めた。
 不本意だが、律のことなら多分なんでも知っている。

 紗理奈さんは、律がバイト先で知り合った正社員の社会人だ。
 甘い物好きの律と話があって、ふたりでお互いのオススメのスイーツを食べ歩いているうちにつきあうことになったらしい。

 律は俺にも紹介してくれたが、八つも年上とは思えないくらいかわいらしくて、それでいて同じ年頃の女の子にない大人の色気があった。
 羨ましいつうか悔しいつうか、素直に喜んでやれなかった。だけど今、律から別れ話を聞かされて、

「それって二股かけてたってことか? 酷い女だな」
 なぜだか俺は憤ってる。

「そんなふうに言わないでよ。僕、本当に彼女のこと好きだったんだから」
 律は、なんとかひきつった笑みを顔に張りつかせている。
 本当は泣きたいはずなのに、なに無理して笑ってるんだよ。俺は、またため息をついた。

「わかった、もう言わない。で? その話と俺がその服着るのと、どんな関係があるんだ?」
「え? 着てくれるの」
 律はほっとしたような声を出した。

「だから、どんな関係があるのか、訊いてるんだろう」
 もうほんと、頼むからちゃんと人の話聞いてほしい。

「うん、アユちゃんに新しい彼女のフリしてもらおうかと思って。そしたら紗理奈さんも安心して僕と別れられるかなって」
 もう俺が引き受けるの確定みたく、律は服を差し出してきた。

「おまえ、二股かけられた上に、なんでそんなことまでしてやらなきゃいけないわけ?」
 ったく、人がいいのか優しいのか、それともバカなのか。

「だって、本当に好きだったんだもん。幸せになってもらいたいでしょう。彼女、電話で本当に僕と別れるの辛いって泣いてたんだよ。だから、僕のこと引きずって欲しくないんだ」

 ああ、ほんと、真性バカだ、こいつ。
 心底、呆れる。

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『常世の契り~山神様と身代わり花嫁』Kindleにて配信開始しました。

常世
『常世の契り~山神様と身代わり花嫁~』

 月のきれいな夜だった。
 駕籠に乗ってから随分経ったのではないだろうか。

 うかつに顔を見せてはいけないと自戒してタツキはずっと俯いていたが、とうとう我慢できずに揺れる駕籠の引き戸をわずかに開けて外を窺った。

 月明かりに照らされたあたりはすでに村外れで、岩や石がごろごろと転がる荒れ地だ。
 足元が危ういから、道理で駕籠はゆるゆると進んでいくはずだ。

 視線を巡らせ前方を見ると、めざす山はもう目の前だ。
 タツキは懐に隠し持った小剣を、純白の花嫁衣装の上からぎゅっと握りしめる。

 十二年に一度の卯月の初め、タツキの村は山に住む神に娘を嫁に差し出さねばならなかった。
 もし差し出さなければ神の怒りを買い、怒りは嵐を呼び起こし瞬く間に村に濁流に呑み込まれてしまう、と言い伝えられている。

 その十二年目の今年、選ばれたのはタツキのたったひとりの妹スイだった。
 妹のスイはまだ十四だ。

 いくら掟とはいえ、かわいい妹を花嫁という名の生贄になどできるものか。
 花嫁などとは体のいい言い方、実際は神を鎮め、機嫌良く村を鎮守してもらうための人身御供だ。

 食われるのか嬲り殺されるのかは知らない。どちらにしても山にやられた娘たちが再び村へ戻ってくることはなかった。
 花嫁に選ばれたと知らされた時から、スイは止むことなく泣き通しだった。

 タツキにしても、そんな妹が不憫でならなかった。
 だからみんなに内緒で入れ替わったのだ。

 幸いタツキとスイは、顔立ちだけならよく似ている。可愛いというよりは細面の端正な顔立ちだ。
 しかしいくらタツキが十八の男にしたら小柄でも、体格の違いは隠しようもない。

 それを打ち掛けで覆い隠し綿帽子を深く被ることで、なんとか皆の目をごまかした。夜の闇もタツキの味方だった。
 間際に入れ替わった妹を屋敷の奥深くへ隠れさせ花嫁衣装を身に纏うと、タツキは悲しくてならないというふうに袖に隠した両手で顔を覆い、そのまま父の村長が用意した花嫁駕籠に乗ったのだった。

 タツキが事を成し遂げるまで誰にも気づかれなければいいが。
 再び、胸の小剣を握りしめる。

 今宵、タツキは山神を斬り殺すと決めていた。

 そうすればもう生贄などださなくてもよくなるし、山神の逆鱗に触れ村が水の底に沈められることもない。
 ガクンと音がして、それまで担がれていた駕籠が地面に降ろされた。

「タツキ、着いたぞ」

 そう声をかけ、駕籠の戸を開けたのは幼馴染みのフウタだった。
 男らしく目鼻立ちのはっきりしたフウタは体格もよく、今回、駕籠を担ぐ役目を自ら引き受けてくれた。

 フウタだって、幼い頃からよく知っていて可愛がっていたスイが生贄になるのは承服しかねていた。だからタツキは神殺しの計画をフウタに打ち明けた。
 スイを生贄にしなくてもすみ、あの忌まわしい山神を退治できるならと、フウタは二つ返事でタツキの計画に乗った。

「本当にやるのか?」
 夜風にざわめく神の山を不安そうに見上げるフウタに、タツキは口角を少しあげてうなずいた。

「ああ、やる。というか、もうそのつもりでここまで来たんだ。やるしかないだろ?」
 慣れない打ち掛けに手こずりながら、駕籠から這い出すとタツキは切れ長の双眸を煌めかせ不敵な笑みを浮かべた。

「俺も一緒に行こうか?」
「いや、ひとりのほうがいい。花嫁はひとりで山に入ると決まっているからな」

 決まりどおりにしなくてはいけない。それに女ひとりのほうが相手も油断するだろう。
 村の存続がかかっている。仕損じるわけにはいかないのだ。タツキが男だとバレないうちに仕留めないと。

「村のことを頼む、フウタ」
 もしタツキになにかあれば、父の次の村長はフウタになるだろう。
 しかしフウタはタツキの緊張で強ばった肩をぽんぽんと叩くと、

「お前なら大丈夫だ、タツキ。早く退治して帰ってこい。祝杯を用意して待ってるから」
 と、笑った。

「ああ」
 幼馴染みの信頼に、少しほっとする。
 前方に建っている山神の祠が月明かりに照らされ、ぼうっと青白く光っている。それを見据えたタツキは口元を引き締めた。

「そろそろ行かなくては」
 タツキは意を決して祠へと足を踏み出す。

「じゃあな、上手くやれよ」
 フウタたちが空の駕籠を担いで村へと戻って行く。
 視線だけで見送ってタツキはふたたび祠に目を遣った。

 打ち掛けの裾を搔い取ってゆっくりと歩いていく。
 祠までたどり着くと壁のようにびっしりと、隙間なくそそり立っていた樹々がさっと二手に分かれた。

 不思議な光景だった。
 子どもが村と神山の間にある荒れ地を越えてはならないと、タツキたちはずっと言い聞かされて育ってきた。

 しかし駄目だと禁じられても、いや、だからこそ好奇心が抑えられなくて言いつけを破り、タツキはフウタたちと荒れ地を超えてこの祠まで来たことがある。

 あの時も今と変わらず鬱蒼と木々が生い茂っていた。
 どこかに山に入ることのできる隙間はないかと、タツキたちは山裾をぐるりと回ってみた。

 しかし、びっしりと壁のように立ちはだかる樹木に阻まれ、一歩たりとも山に入ることはできなかったのだ。
 それがどうだ。

 今は木々のほうがタツキのために二手に割れて道を作ってくれている。
 なにか出てくるのではないかと用心しながらそろそろと歩いて行く。と、行く手にぼうっと白く輝く小さな人影が待ち受けている。
 
 いよいよ山神様のお出ましか。
 タツキは胸元で小剣を握りしめ緊張に身を固くした。

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文学フリマ京都参加と『潜入オメガバース!』サイン本販売のお知らせ

1月19日、みやこめっせで開催される文学フリマ京都にすとう茉莉沙先生と合同サークルで出店します。

当日、翌20日に発売される商業新刊の『潜入オメガバース!~アルファ捜査官はオメガに惑う~』のサイン本を先着5名様限定で、番外同人誌とセット販売します。
当日参加を予定されている方は、この機会にどうぞよろしくお願いします。

文フリ京

『潜入オメガバース!~アルファ捜査官はオメガに惑う~』はフジョッシーさんでお試し読みができます。


『潜入オメガバース~アルファ捜査官はオメガに惑う~』

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ツイッターでお知らせしましたが、こちらでも。
2020年1月20日『潜入オメガバース~アルファ捜査官はオメガに惑う~』《ラルーナ文庫)発売です。

イラストはMor.先生。
とってもかっこよく素敵に描いてくださいました。表紙デザインもスタイリッシュ。

アマゾンさんでも予約が始まっています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4815532303/ref=sr_1_4?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%81%BF%E9%BB%8E&qid=1576761905&s=books&sr=1-4

コミコミスタジオさんでは特典でイラストカードと番外編SSがつくようです。
https://comicomi-studio.com/goods/detail/119653

書籍情報にあるように、デンジャラスラブストーリーですが、ダークやヤンデレではないです。
前作の『REDRUM』のような闇系と思って読まれると、あれれ?ってなっちゃいます。(^_^;
エロとスリリングな展開をお楽しみください、な1作です。

どうぞよろしくお願いします。